ファッショナブルな狂気
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先日、「マックイーン・モードの反逆児」というドキュメンタリー映画を観に行きました。もともと中心気質の天才ということで興味があったからです。
庶民的な家庭に生まれ、天真爛漫でかざらない性格で、大成功して上流階級の仲間入りをしても誰にもこびないカジュアルなスタイルを貫き通したことが知られています。
Alexander McQUEEN
このパッと見フツーのおじさんっぽいひとが、イギリスの天才的なファッションデザイナー「リー・アレキサンダー・マックイーン」そのひとです。
その外見からは想像もつかないような素晴らしいデザインを生み出しました。
若くして頭角を現し、型破りでセンセーショナルな手法で時代の寵児となりました。20代でロンドン・コレクションに参加し、GIVENCHYの主任デザイナーやGUCCIのクリエイティブ・ディレクターを歴任し、自身のブランド「ALEXANDER McQUEEN」を立ち上げ、パリ・コレクションに参加、デヴィッド・ボウイ、ビョーク、レディー・ガガの衣装をプロデュースするなど精力的に活動し、数々の独創的な作品や衝撃的な演出を生み出しました。
矛盾が矛盾なく同居すれば迫力になる
マックイーンは、名門店が集まるサヴィル・ロウ通りの高級紳士服店で見習いを始め、伝統的なオートクチュールに前衛的なパンクの要素を融合させる斬新なスタイルを確立させました。彼の作風は、優雅さや繊細さとともに死・暴力・動物性・虚無感など人間のダークサイドが折り込まれることが特徴です。
そのような矛盾が矛盾なく作品のなかに同居することによって、独特の迫力を生み出しています。
今では当たり前になったドクロのモチーフを流行させたのはマックイーンであるという説があります。
しかし、自身の内に矛盾を抱え込むことはとても過酷なことだったのかもしれません。彼は富と名声の絶頂期にありながらも、次第に酒やドラッグにおぼれるようになり、40歳の若さで自らの命を絶ちました。
ファッショナブルな狂気
2001年にマックイーンは、精神病院をモチーフにした衝撃的なコレクションを開催しています。時代の最先端を表現する若きファッションデザイナーが、文字通り「狂気」をファッションとして身にまとう方法を採用していた事実がとても興味深いと思う今日このごろです。
前に紹介したジェフリー・ミラーの仮説「精神疾患や精神病理がシグナリング・コストとして機能すること」を体現しているからです。
詳しくは下記を参考にしてください。
若者にとって重要な特性である「高い開放性」をディスプレイするには、それなりのシグナリング・コストを支払わなければならないという話。
また、エキセントリックでサイケデリックなサブカルチャーと同様に、精神疾患や精神病理学もシグナリング・コストとして消費されるようになったという話。
若者にとって重要な特性である「高い開放性」をディスプレイするには、それなりのシグナリング・コストを支払わなければならないという話。
また、エキセントリックでサイケデリックなサブカルチャーと同様に、精神疾患や精神病理学もシグナリング・コストとして消費されるようになったという話。