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ぼくは毎年のように精神病理学会に参加している数少ない精神科医のひとりです。今年はコロナ禍ということでweb形式の学会だったのでとても便利でした。

web開催なのに参加費が10000円だったのが納得いかないのですがそれはともかく、最近は精神病理学会ホームページ運営委員会に参加してお手伝いさせていただいてます。


この前、精神病理学会が監修した用語集/シソーラスをweb上で公開することになったので、興味のある方はのぞいてみてください。用語をとても大切にあつかっている先生方の叡智が結集されているので、けっこう貴重な情報なのです。


ところで、精神病理学は「精神疾患の仕組みを探求する学問」で、そのツールとして精神分析や現象学(哲学の一種)がよく用いられています。しかしながら、精神分析や現象学は最近だんだん説得力がなくなってきています。

そもそも、精神分析や現象学は精神科の実務にはほとんど役に立たないばかりか、めちゃくちゃわかりにくくて勉強するのに時間と労力を食ってしまいます。

そのように理不尽なコストを支払っているからこそ、精神分析や現象学はある種のステータスになっていたりして、ひと昔前はけっこう専攻する精神科医がいたみたいです。今はさすがにほとんどいなくなって、いたとしても変人あつかいされていたりします。つまり、絶滅危惧種です。

精神病理学会はシーラカンス的なひとたちに出会える貴重な学会であるからこそおもしろかったりします。
陰謀論

これはネットで評判の画像で、それぞれ下記をあらわしています。
  • データ(data)
  • 情報(information)
  • 知識(knowledge)
  • 洞察(insight)
  • 知恵(wisdom)
  • 陰謀論(conspiracy theory)
ともすれば、精神分析や現象学は知恵であってほしいものの、最近ではオカルトじみた陰謀論みたいなあつかいになっているのかもしれません。

さて、近年では発達障害を精神分析や現象学で説明しようと努力されているひとを観察しているのですが、彼らの考え方はとてもアクロバティックです。たとえるならば、スプーンでスープを飲めばいいのに、でっかいスコップでスープを飲んでいるような。

「でっかいスコップをあやつる達人がめちゃくちゃ苦労してちょこっとだけスープを飲む」という曲芸をみせつけられると、「へぇ~、すごーい」って感心することもあるのですが、それならはじめからスプーン使ってスープ飲もうよ、って素朴に感じるわけです。ソレ、わざわざやる必要あるの?ってツッコミを入れたくなってしまいます。

発達障害に関しては、精神分析や現象学よりも進化心理学や行動経済学がツールとして優れているのではないかと最近考えていて、とくにADHDは行動経済学で考えた方が有益なので、これからまとめてみようと思っています。