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第20回統合失調症臨床研究会のご案内

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統合失調症臨床研究会


統合失調症臨床研究会という、統合失調症についてあつく語る会の事務局を手伝っていて、チラシを作ったりシンポジウムに参加したりします。興味のある医療関係者の方はご連絡いただければ。


第20回 統合失調症臨床研究会
テーマ:「INNOCENCE ✕ WILD」

【日時】2016年7月9日(土)10日(日)
【場所】GREEN HOUSE aqua
【会費】事前登録8,000円 当日参加9,000円 (懇親会費込み) 
【日程】
7月9日(土)
 12:30 受付
 13:00 第1演題
■司会 
 鈴木康一(立川メディカルセンター柏崎厚生病院)
■演題
『約30年間未治療だった統合失調症の男性の支援を通して学んだことーコミュニティの中に役割を作ることの大切さについてー』
 大野美子(愛知県健康福祉部障害福祉課こころの健康推進室)

 14:30 第2演題
■司会 
 藤城 聡(愛知県精神保健福祉センター)
■演題 
『なぜ病識獲得を求めるのか?―医療観察法で処遇中の放火・殺人を行った事例からー』
 吉岡眞吾(独立行政法人国立病院機構東尾張病院)

 16:00 シンポジウム(オードブル&フリードリンク)
『星野弘の著作【分裂病を耕す・精神病を耕す】を再読する』
■司会
 杉林 稔(社会医療法人愛仁会高槻病院)
■シンポジスト
 濱田伸哉(すずろメンタルクリニック)
 徳田裕志(高田馬場診療所)
 島田 稔(亀岡シミズ病院)
 田中伸一郎(帝京平成大学健康メディカル学部臨床心理学科)

18:00 懇親会(メイン&フリードリンク)
20:00 終了


7月10日(日)
 10:30 受付
 11:00 第3演題 
■司会 
 小川 恵(淑徳大学総合福祉学部)
■演題
『人は死別をどう乗り越えていくのか?ー病的悲嘆を呈した統合失調症の女性の治療経験からー』
 戸部有希子(新百合ケ丘総合病院)

 12:30 第4演題
■司会 
 横田 泉(オリブ山病院)
■演題
『統合失調症臨床の型をたずねて:自然な回復の記述のために』
 横田謙治郎(川沿記念病院)

 14:00 終了

発達障害の特性をレーダーチャートで一望する

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MSPAレーダーチャート

MSPA(Multi-dimensional Scale for PDD and ADHD)

発達障害の特性をレーダーチャートで一望できるアセスメントツール『MSPA(Multi-dimensional Scale for PDD and ADHD)』を開発した船曳康子先生の講演を聴きました。MSPAは実際に支援の現場で問題となる発達障害の症状14項目を9段階で評価し、レーダーチャートで表現するものです。
DSM5との関係
  • DSM5から発達障害の下位分類が撤廃されたかわりに重症度分類が導入された。
  • MSPAのスコアリング3-4-5はそれぞれDSMの重症度分類Level1-2-3に対応しているので便利。

下位分類との関係
  • MSPAでデータを集めてまとめてみると、PDDNOSとADHD不注意型はほとんど同じような形のチャートになった。
  • というわけで下位分類の意義は乏しいかもしれない。論争しても無意味かもしれない。

知能指数IQとの関係
  • IQが高ければ、スコアリングの3点くらいまでは代償できるので見守りでOK。
  • IQが低ければ、積極的に支援を導入するなど将来予後を予測できる。 
  • 得意分野を把握しておくことも重要。

発達障害アセスメントの煩雑さ


発達障害のアセスメントは各機関によって多種多様で、だいたいレポートが読みにくいのです。ダラダラダラダラ長文で記述されていて情報が雑多です。しかも評価者が主観的だったりするとそれはもう大変で、情報をひろうのにひと苦労するわけです。この煩わしさが発達障害の難しさの大部分を占めてる気すらしてます。

これまで自分なりにアセスメントの書式を工夫してみたりしたのですが、MSPAのように視覚的に一望できるレーダーチャートはとても便利だと思うわけです。


診断が先か、支援が先か

船曳先生はもともと内科医で、発達障害の専門外来の予約が2年待ちだったりする現状を憂いて急遽コレを開発したそうです。医療機関へ受診して診断されなくても、現場でできる支援があるハズなので先にやってしまおうということみたいです。

実際に支援の現場では、そのひとの特性に合せた支援が診断よりも先に行われていることは珍しくありません。とある就労支援施設では「このひとはうつ病の診断なんですがこちらでは発達障害として支援してます」ってこともしばしば。


統合失調症と発達障害、診断ー治療の差異について

統合失調症を診断する時、精神科医は確固たる疾患単位を想定し、症例をそれに寄せて診断します。そして統合失調症という診断名は即治療を意味します。現在は通院でも治療が可能になっていますが、昔だったら即入院なわけです。 

一方、発達障害は医師が診断を下したところで事務手続き上の意義しかなかったりします。健常者からなめらかに連続するスペクトラムだし、ひとりの患者さんのなかでも複数の診断名がオーバーラップしたりするし、実際に支援が必要な特性は同じ診断名でも違っていたりするので、患者さんそれぞれの特性をアセスメントすることが必要になります。

前回の記事で紹介した十一先生的なスプリット診断は、疾患理解のためには重要で精神科の従来診断とも相性がよくて受け入れやすいのですが、それ単独では実用性という点ではやや不十分だったりすると思います。   


統合失調症と固有名・発達障害と確定記述

ここで唐突に以前の記事で紹介した固有名vs確定記述の話に寄せて考えてみると『統合失調症は固有名の疾患であり、発達障害は確定記述の疾患である』と言えるかもしれません。

患者さん自身も、統合失調症のひとは固有名というか象徴的なものにこだわりがちで、発達障害のひとは確定記述というかデータベースやスペックにこだわりがちな傾向にあるという対応があっておもしろいなあと思っている次第です。


神田橋條治は発達障害をどのように理解しているか

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精神病理学会37


先日、精神病理学会へ行ってきました。マイナーな学会ですが、とてもおもしろいのでほぼ毎年参加しています。

今年は、内海健先生プロデュース@東京藝術大学。ゲストに哲学者、社会学者、理学者、複雑系研究者からアーティストまで登場して素晴らしいコンテンツが目白押しでした。会場でフリーwifiが使えたのもよかったです。

神田橋條治による発達障害のお話がとても良かったので少し紹介してみます。神田橋條治はちょっとオカルトっぽいところがあったりして苦手だった時期もあったのですが、今となってはこの手のうさんくささは精神療法家としてある程度は必要なのかもしれないと思ったりしています。
 
※わかりやすく『発達障害』と表記していますが、広汎性発達障害あるいは自閉スペクトラム症のことです。


発達障害の診断について

発達障害の情報は雑多なのでまとめて一望できる方がいい。
あああこれはホントにそうで、MSPAなどでまとめて大づかみする必要があります。
発達障害のひとは対話が苦手だからお喋りに憧れる。お芝居とか。対話は苦手だけどお喋りは好き。メールは得意なので凝る方。
会話のキャッチボールが苦手で一方的なコミュニケーションをとりがちだけど、スピーチがとても上手なひともいる。
発達障害を疑ったら幼稚園時代に何が楽しかったかを聞く。人間関係やコミュニケーションに関することだったら定型発達、本とかモノだったら発達障害の可能性を考える。
会話のキャッチボールが苦手で一方的なコミュニケーションをとりがちだけど、スピーチがとても上手なひともいる。人間よりも虫とか電車とかに興味を持つ。


発達障害と統合失調症

発達障害のひとは精神病をやるとラクになる。
『◯◯に思えて仕方がない』という表現をする場合、発達障害を基盤とした統合失調症である可能性を考える。頭から振り払おうとしても振り払えない、あらかじめ異物感がある。
典型的な統合失調症のひとは二重見当識を駆使して社会で生きていける。生活臨床で言うところの受動型。能動型のひとに発達障害がまぎれていることがままある。ほどほどのところであきらめることができないひと。 
発達障害のひとで、一時的に精神病状態になってたいへんなことがあるけど、そうなった後にスッキリしていることが多かったりします。


発達障害のひととの交流について

患者さんと手記でコミュニケーションをすること。手記が治療者と接していて本人は後ろに隠れている。このように、いつも生身の自分がオモテに出ないようにしてやっていける方がいい。それが洞察された上でなされるようになればなおさらよくて『しょせんこの世は幻』的な生き方ができるようになってイイ感じ。
『論理で動いている』のではなく『論理に基づく判断で動いている』わけで、論理にあなたがいるのではない。『論理で動く人間』という理解では不安定。そうではなく、判断した瞬間にあなたがある。判断は常に感情が伴う。
情緒的な関係で支えられるのが苦手。知的なものは肉体と密着していないので、それをよすがに生きていくひとは風変わりな人として完成していく。
情に基づくベタベタした関係ではなく『ポジティブに評価されている』という情愛関係を育む。その際、褒め言葉は暖かすぎるので『承認』くらいにしておく。
このへんの理解が白眉だと思いました。もしかしたら神田橋條治は人間の複雑な心の機微をモノ的にとらえて解釈して自在に操作できるという点では、ご自身も発達障害に親和性のあるひとなのではないかと感じました。


その他

発達障害のひとは苦手な部分を代償していく。それを『脳が発育した』と解釈する。 
脳の故障としての説明モデルは発達障害のひとには有効。脳科学という神話にのっとって、脳を保護する活動をすすめる。
社会復帰とか就労は『ごっこ』としてやるくらいで丁度いい。

人文系の精神科医は脳科学を敬遠しがちですが、神田橋條治は逆に脳科学ブームを歓迎して精神療法的に利用できるところはとことん利用してしまおうという節操の無さがいい感じでした。

発達障害は治りますか?
神田橋 條治
花風社
2010-05-25


 

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